子宮頸がんとは、子宮の入り口にあたる「子宮頸部」にできるがんのことです。
大部分の子宮頸がんは、CIN(子宮頸部上皮内腫瘍)やAIS(上皮内腺がん)という、がんになる前の状態を経てからがんになります。
がんになる前の状態であるCINやAISの時期には症状がなく、おりものの変化や出血、痛みもありません。
子宮頸がんが進行すると、月経中でないときや性交時の出血、においを伴う濃い茶色や膿のようなおりもの、水っぽいおりものや粘液がたくさん出るなどの症状がみられることがあります。
がんが子宮の外に広がると、多量の出血、骨盤や下腹部、腰の痛み、尿や便に血が混じる、下肢のむくみなどの症状が出ることもあります。
子宮頸がんの検査
子宮頸がんの検査は、まずスクリーニング検査として子宮頸部の細胞診検査を行います。
細胞診検査とは、子宮頸部(子宮の入り口)を先にブラシのついた専用の器具で擦って細胞を採り、異常な細胞があるか顕微鏡で調べる検査です。
その結果によっては、子宮頸がんの発生する危険性が高い種類のヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)の感染を検査するハイリスクHPV検査を行うこともあります。
CINやAIS、がんなどの疑いがある場合には、コルポスコープ(腟拡大鏡)を使用した観察と異常が疑われる部位の病理組織検査を行います。
子宮頸がんと診断された場合には、内診・直腸診、超音波(エコー)検査、CT検査、MRI検査、PET検査を行って、子宮の周りや体全体にがんが広がっていないか確認します。
また膀胱や直腸を内視鏡で観察し、浸潤の有無を確認することもあります。
子宮頸がんの治療
子宮頸がんの治療には、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法があります。
治療は、がんの進行の程度や組織型に応じた標準治療を基本として、本人の希望や生活環境、年齢を含めた体の状態などを総合的に検討し、担当医と話し合って決めていきます。
子宮頸がんの予防
子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因であることがわかっています。
このウイルスは性的接触により子宮頸部に感染します。
現在はHPVワクチンが開発され、日本を含め、世界各国でワクチン接種が行われています。
HPVワクチンにより子宮頸がんの60~70%を予防できると考えられています。
子宮頸がんは早期に発見すれば治癒率も高く、予後の良いがんですので、早期発見が極めて重要です。
HPVワクチンの接種と、定期的に子宮頸がん検診を受けることが子宮頸がんの予防や早期発見につながります。
≪参照資料≫
子宮頸がん(国立がん研究センター がん情報サービス)