近年、日本では梅毒患者の増加が社会問題となっていますが、これは日本に限ったことではなく、世界的に性感染症が増えているようです。
イギリス国内では性感染症の淋病が拡大しており、英保健安全保障庁(UKHSA)によれば、昨年の淋病診断件数は前年から50%以上増え、過去最多を記録したそうです。
イギリスでは多くの場所で無料で性感染症の検査が受けられ、感染の急増は検査件数の増加が一因となっている可能性もあるとされていますが、前年比の増加幅が大きいことから、実際に感染が拡大しているとみられています。
また、アメリカではクラミジア、淋病、梅毒が特に急増しており、アメリカ国内で報告された淋病の症例は2009~2021年に118%増加、また、女性の梅毒感染は2021年に49%急増したとのこと。それと関連するかのように、アメリカでは先天梅毒(梅毒に感染した妊娠中の女性から胎児への感染)の赤ちゃんも近年増加しているようです。
梅毒は、治療せずに放置すると、潰瘍や発疹のほか、さらに症状が進むと脳や神経、目、心臓への損傷を引き起こします。梅毒の多くは性的接触によって感染し、中でも妊娠中の女性が感染すると、流産や死産の原因となったり、赤ちゃんが先天梅毒となる可能性があります。
先天梅毒の赤ちゃんは、早産や低体重、また生まれてまもない時期での発疹や骨の異常、数年後に難聴がみられたりと、様々な症状が出る可能性があります。
性感染症の予防には、コンドームの使用が大切です。コンドームは避妊のため、と考えられがちですが、性感染症の予防になります。
しかし、コンドームで100%予防ができるわけではないので、何か少しでも症状があったり、感染が疑われる場合は、迷わず検査することが大切です。