2023年 9月 の投稿一覧

世界的に性感染症が増えています

近年、日本では梅毒患者の増加が社会問題となっていますが、これは日本に限ったことではなく、世界的に性感染症が増えているようです。

イギリス国内では性感染症の淋病が拡大しており、英保健安全保障庁(UKHSA)によれば、昨年の淋病診断件数は前年から50%以上増え、過去最多を記録したそうです。

イギリスでは多くの場所で無料で性感染症の検査が受けられ、感染の急増は検査件数の増加が一因となっている可能性もあるとされていますが、前年比の増加幅が大きいことから、実際に感染が拡大しているとみられています。

また、アメリカではクラミジア、淋病、梅毒が特に急増しており、アメリカ国内で報告された淋病の症例は2009~2021年に118%増加、また、女性の梅毒感染は2021年に49%急増したとのこと。それと関連するかのように、アメリカでは先天梅毒(梅毒に感染した妊娠中の女性から胎児への感染)の赤ちゃんも近年増加しているようです。

梅毒は、治療せずに放置すると、潰瘍や発疹のほか、さらに症状が進むと脳や神経、目、心臓への損傷を引き起こします。梅毒の多くは性的接触によって感染し、中でも妊娠中の女性が感染すると、流産や死産の原因となったり、赤ちゃんが先天梅毒となる可能性があります。

先天梅毒の赤ちゃんは、早産や低体重、また生まれてまもない時期での発疹や骨の異常、数年後に難聴がみられたりと、様々な症状が出る可能性があります。

性感染症の予防には、コンドームの使用が大切です。コンドームは避妊のため、と考えられがちですが、性感染症の予防になります。

しかし、コンドームで100%予防ができるわけではないので、何か少しでも症状があったり、感染が疑われる場合は、迷わず検査することが大切です。

【検査の一覧はコチラから】

HPV(子宮頸がん)ワクチン

以前、知人が自分の娘に子宮頸がんのワクチン(HPVワクチン)を接種するかどうか悩んでいた、という話をしましたが、その後どうなったか知人に聞いたところ、1回目の接種は済ませたとのことでした。

現在、HPVワクチンの定期接種は3種類(9価ワクチン「シルガード9」、4価ワクチン「ガーダシル」、2価ワクチン「サーバリックス」)から選ぶことができます。

予防できるHPVの種類がそれぞれ、9種類、4種類、2種類となるのですが、知人はそれぞれの特徴や副反応、接種回数などを考えて、9価ワクチンの「シルガード9」を選択したそうです。

接種時は、インフルエンザなどの予防接種に比べると痛みが強かったようですが、思っていたほどの痛みでもなく、その後も腫れや痛みといった副反応はなかったようです。

1回目が大丈夫でも、2回目以降では副反応があったという話も聞くので、まだ安心はできないのですが、とりあえず今回は何事もなくほっとしたと言っていました。

子宮頸がんの予防には、HPVワクチンの接種はとても有効です。

「シルガード9」では子宮頸がんの原因の80~90%、「ガーダシル」や「サーバリックス」でも子宮頸がんの原因の50~70%を防ぐと言われています。

しかし、高い確率で予防できるといっても100%ではないので、ワクチン接種をしたうえで、20歳以上の女性は、2年に1回の頻度で子宮頸がん検診を受けることが推奨されています。

【子宮頸がんの検査はこちらから】

≪参照資料≫

ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~厚生労働省

HPVワクチンに関するQ&A~厚生労働省

 

梅毒の感染者が10,000人を超えました

国立感染症研究所が週ごとに公表する感染症発生動向調査(速報値)によると、今年初めから9月3日までに10110件の梅毒の症例が報告され、今年の梅毒の感染者が10,000人を超えました。

これは、昨年より約2か月早いペースとなります。

また、年齢別でみると、男性は20~50代と幅広い層で感染者がみられますが、女性は20代の若い人たちが感染者の中心となっています。

梅毒は梅毒トレポネーマという病原体の感染によっておこる性感染症です。

感染後3~6週間の潜伏期間を経て、感染がおきた部位(陰部、肛門、口など)に、しこりや潰瘍が見られたり、リンパ節の腫れなどの症状が出てきますが、症状が出ない場合もあります。

これらの症状は、治療をしなくても、やがて消えていきます。

梅毒は、症状が現れる時期と症状が自然に消える時期を交互に繰り返しながら進行します。

しかし、症状が出ていない時期でも、病原体がいなくなったわけではないので、他の人にうつす可能性があります。

女性では、梅毒に感染したと気づかないまま妊娠して、先天梅毒の赤ちゃんが生まれる可能性があるので注意が必要です。

無治療のまま年数が経過すると、皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生し、やがては心臓、血管、脳などの複数の臓器に病変が生じ、場合によっては死亡に至ることもあります。

 

感染者が増加した要因としては、はっきりした理由はわかっていませんが、SNSの普及により、不特定多数の人と性交渉をする機会が増えたことや、性風俗サービスの多様化、また感染の流行を受け、検査数が増加したことも理由の一つと考えられています。

感染予防としては、不特定多数の人との性的接触を避けることや、コンドームを使用することが大切です。

梅毒は、治療をしなくても症状がなくなることがありますが、自然に治ることはありません。

現在では、比較的早期から治療を開始する例が多く、抗菌薬が有効であることなどから、重篤な症状まで進行したり、死に至ることはほとんどありません。

早期に治療すれば治る病気ですので、性器などの感染部位にしこりがあるなど、梅毒が疑われる症状がある場合は、早めに検査することが大切です。

【梅毒の検査はこちらから】

≪参照資料≫

梅毒とは(国立感染症研究所)

感染症に気をつけましょう

9月になりましたが、まだまだ暑い日が続いていますね。近頃は局地的に大雨が降る日も多く、また、台風も近づいているのであまり被害が出ないといいですよね。

一方、新型コロナウイルスの感染者も増加傾向にあり、新学期が始まって、全国的に学級閉鎖が報告されています。また、インフルエンザによる学級閉鎖もすでに各地で出ているようです。

インフルエンザによるこの時期の学級閉鎖はこれまでなかったようで、コロナ過での行動制限や感染症対策により、インフルエンザにかかったことがない子も多く、また、免疫が低下してかかりやすくなっている子どもが増えているのではないかといわれています。

マスク生活には戻りたくないですが、季節の変わり目で体調も崩しやすいので、感染症には気を付けて過ごしたいですね。

また、梅毒の感染者数の速報値も大幅に増えているので、性感染症にも引き続き気を付けましょう。

【性感染症の郵送検査はこちらから】