HIVとAIDS(エイズ)の違いをご存じですか?

HIVとAIDS(エイズ)は、しばしば同じものとしてとらえられることがありますが、実際の意味はそれぞれ異なります。

HIVは「ヒト免疫不全ウイルス」という、免疫力を低下させるウイルスのことです。

一方、AIDS(エイズ)は「後天性免疫不全症候群」と訳され、HIVに感染することで、免疫力が低下し、普段は感染しない病原体にも感染しやすくなり、さまざまな病気を発症する状態のことをいいます。
HIVに感染し、抵抗力が落ちることで発症する疾患のうち、代表的な23の指標となる疾患が決められており、これらを発症した時点でエイズ発症と診断されます。

・HIVの感染経路

1)性的接触

性的接触による感染は最も多い感染経路です。HIVは主に血液や精液、膣分泌液に多く含まれています。HIVは感染者の血液・精液・膣分泌液から、その性行為の相手の性器や肛門、口などの粘膜や傷口を通ってうつります。

2)血液によるもの

血液を介しての感染は、HIVが存在する血液の輸血や、覚せい剤などの依存性薬物の“回し打ち”による注射器具の共用などによって感染します。輸血については、現在、日本赤十字社においてすべての献血血液について非常に厳格なHIV検査を実施しているため、感染の危険性は極めて低いです。

3)母子感染

母子感染は、出産時の産道感染、胎内感染、母乳による感染があげられます。

HIVウイルスはとても弱いウイルスで、血液や体液を介して接触がない限り、日常生活では感染する可能性は極めて低いウイルスです。唾液や涙等の分泌液中に含まれるウイルス量は存在したとしても非常に微量で、お風呂やタオルの共用で感染した事例は今のところ報告されていません。

・日本国内におけるHIV感染者/AIDS患者の推移

日本では1985年に初めてエイズ患者が報告され、2021年までにHIV感染者23,231件、エイズ患者10,306件、合わせて33,537件の報告がありました。2021年1年間の新規報告者数は,HIV感染者が742件、エイズ患者が315件、合わせて1,057件となり、2013年の1,590件の新規報告数をピークとして、減少傾向となっています。


(厚生労働省エイズ動向委員会データより作成)

 

HIV感染症やエイズの治療方法は大きく進歩し、エイズはもはや「死の病」ではなくなりました。
HIV感染やエイズの発症を予防するためには、感染経路を正しく理解したうえで予防し、疑いがあるときは迷わず検査を受け、感染が認められた場合は、早期に治療にとりかかることが大切です。

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次回は、HIVについて詳しくお話しします。

≪参照資料≫

HIV/エイズって何? HIV検査相談マップ

エイズQ&A-HIV/エイズの知識 API-Netエイズ予防情報ネット

令和3(2021)年エイズ発生動向年報 API-Netエイズ予防情報ネット