クラミジアについて

この間まで夏のような暑さが続いていたのに、急に寒くなりましたね。こんな時は体調を崩しやすいので、みなさん、暖かくして体調管理に気を付けてくださいね。

今日は、性感染症(STD)の一つのクラミジアについてお話ししたいと思います。

クラミジアは、日本国内で最も多い性感染症の一つで、クラミジア・トラコマチスという病原体が、性行為などにより、性器やのど、直腸などの粘膜に感染します。

クラミジアの症状

クラミジアは、症状が軽かったり、無症状のことも多いので、感染していることに気が付きにくい感染症です。

症状が出る場合は、1~3週間の潜伏期間を経て、男性では、尿道から感染して急性尿道炎を起こし、排尿痛、尿道の不快感やかゆみ、尿道から透明~乳白色の膿が出るなどの症状があらわれます。さらに、病原菌が前立腺や精巣まで侵入すると、前立腺炎や精巣上体炎、男性不妊症などを引き起こす場合もあります。

一方、女性では、子宮の入り口が炎症する子宮頚管炎を起こし、おりものの増加、不正出血、下腹部痛、性交痛がみられます。その後、感染が子宮内膜、卵管へと広がり、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤内炎症性疾患を起こし、不妊症や子宮外妊娠の原因となります。
また、妊婦が感染すると、子宮が収縮しやすくなり、流産や早産のリスクも高くなります。そして出産時には産道感染により、新生児にも感染させる恐れがあります。

女性は男性よりも症状が出にくいと言われていますので、妊婦健診や不妊治療で発見される場合も多くあります。

また、クラミジアは性器だけではなく、オーラルセックスなどにより咽頭に感染することもありますが、多くの場合無症状です。

クラミジアの検査

クラミジアの検査は、感染部位や症状に合わせて、尿の採取、患部をぬぐう、うがい液の使用などにより感染の有無を調べます。 感染を検査する方法には、核酸増幅検査(リアルタイムPCR法、SDA法、TMA法など)、抗原検査、抗体検査があります。核酸増幅検査は、検出感度が高く、1つの検体で淋菌との同時検出、鑑別が可能であるため、混合感染の診断にも有用です。しかし、クラミジアの生死にかかわらずに検出してしまうため、治療後の検査のタイミングや判定には注意が必要です。

クラミジアの治療

クラミジアは自然治癒はしませんので、必ず治療することが必要です。
治療は、抗生物質の内服により行います。症状が重い場合は、点滴による治療を行う場合もあります。
また、クラミジアは男女間でお互い感染させるピンポン感染があるため、パートナーと一緒に治療を行うことが大切です。

クラミジアは、性的活動の活発な10代~20代の若年層の感染者が多く、自覚症状がない場合も多いため、気が付かないうちに感染していたり、パートナーに感染させていることが多い感染症です。
また、治療せずに放置すると不妊にもつながりますので、感染の可能性があった場合は早めに検査し、医療機関を受診しましょう。その際、パートナー等と一緒に検査を受けることも大切です。

【クラミジアの検査はこちらから】

<参照資料>
性器クラミジア感染症とは (国立感染症研究所)

性感染 最新情報(5) 若者に広がるクラミジア・淋菌感染症 (NHK)

性器クラミジア感染症 (時事メディカル)